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風致地区と住環境の保護

風致区域

風致地区と聞いてピンとくる人は少ないのではないでしょうか。
あまり聞きなれない言葉であり、見たこともないという人も中にはいるでしょう。
ですが近所に町並みが整えられていたり、閑静な住宅街が形成されていたり、昔ながらの趣がしっかりと残っている地域がありませんか?
それこそが風致地区なのかもしれないのです。

1919年に制定された都市計画法で建築や樹木の伐採などに一定の制限を設けて都市内外の自然を維持し保存する為に創設された制度です。
風致には趣や味わいと言った意味があります。

初めて風致地区に指定されたのは東京の明治神宮周辺の地区であり、その後京都などにも広がり全国的なものとなりました。
高度経済成長期には一時停滞しましたが、文化財保護法の改正などに伴って風致地区を制定する自治体が再び増えてきたのです。

現状の環境を変えることが出来ない風致地区

自然や景観を維持し保存するのが風致地区の目的であり、新しい環境を作るものではありません。
人によっては古いと感じることもあるでしょう。

法律や条例によって建築物や樹木の伐採、土木行為などに制限があり、この制限はとても厳しいものです。
新しい形で余っている土地や建物などを活用しようとしても風致地区であることから出来ないことも多く、賛成派、反対派などで衝突することも少なくありません。

風致地区で新築を建てる場合

10ヘクタール以上の風致地区であれば都道府県や政令市の管轄となり、それ以下であれば市町村は管轄しています。
風致地区で新築を建てる場合には都道府県や市町村に許可をもらう必要があり、定められている建築基準などをクリアしなければ建てることは出来ません。

風致地区では建ぺい率や建物の高さ、外壁の後退、建物の色彩や形態、意匠、植栽など事細かに基準が設けられており、通常の建築基準法よりも厳しい規定になっています。
また風致地区と一言で言ってもいくつかに分けられており、その中でも第一風致地区は特に厳しい規定となっています。

新築を建てる他には宅地の造成や土地の開墾、土石などの採取、木竹の伐採、野外での土石、廃棄物、再生資源の堆積などにも制限がかけられており、その地域の景観などの維持の妨げとなるものには全てに制限がかけられています。

風致地区のメリット・デメリット

何かと制限の多い風致地区ですが、もちろんメリットは存在します。
最大のメリットはやはり住環境のよさでしょう。
失われつつある自然を住民が一眼となって維持、保存をするのですからよりよい住環境を長く維持することが出来ます。

デメリットとしては、やはり自分の家を建てる際には何かと規制を受けることになり、建ぺい率や容積率などの問題から敷地の有効利用が出来ない点でしょう。
何をメリットとしデメリットとするかは人によって異なるので難しい問題となります。

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