建築物の基本的な法律として「ビル管理法」というものがあることを以前に書きましたが、
大きなオフィスビルやショッピングセンターにはこのビル管理法に基づいて建物の衛生や安全を管理している専門家がいるのをご存じでしょうか?
それが「建築物環境衛生管理技術者」、通称「ビル管理士」と呼ばれる人たちです。
ビル管理士になるには
一定の年数の実務経験を積んだ後に国家試験を受けて合格するか、講習を受けることで取得することができます。
ビル管理試験の出題範囲はとても広く、建築法や消防法に関する基本事項から、水道設備やボイラーに関する知識、換気用ダクトの風量や風速を算出する計算問題や害虫の種類や性質に関する知識、さらには水質基準や空気環境基準の詳細な数値まで、覚えなければならないことは山ほどあります。
さらに、出題される問題のなかには高校の数学で教わった対数関数(logという記号が出てくるあれです)を使った計算が必要になる問題もあり、学校をでてから何十年もたった大人が受験するにはかなりの勉強が必要です。
そのため合格率は15%から20%程度と低く、何回か挑戦して合格する人が多いようです。
試験内容
難易度が高い上に、このビル管理試験は1年に1回しか行われません。
試験会場の数も限られており、札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪府、福岡県の6箇所しか試験会場がありませんから、それ以外の地域の人は試験会場の近くに宿泊する必要があります。
出題範囲の広い試験なのでその分試験時間も長く、午前と午後にわけて丸1日かけて試験が行われます。
開始時間も結構早いので、普段朝に弱い人はそのための準備も必要かもしれませんね。
長丁場の試験なので昼休みは少々長めで2時間くらいあるのですが、試験会場によっては昼休みの間は教室にいられない場合もあり、その場合は昼休みに時間をつぶすための場所を確保する必要もあるようです。
試験会場は多くの場合、大学のキャンパスを借りて行われますが、試験が行われるのは日曜日なので学食や売店は閉まっていることが多いので注意が必要ですね。
なにかと大変なことの多いビル管理試験ですが、合格することができればそれはビル管理の幅広い知識を持ったスペシャリスト。
そんな専門家に支えられて、オフィスやショッピングセンターは快適な環境が維持されているのです。
私達不動産業に携わるものも、基本的なことくらいは把握しておかなくてはいけないな、と思っています。